~血統ウェーヴ~

直系統に囚われない血統解釈で競馬の本質に迫る

【函館記念】◎トーラスジェミニ

現在のところ、今年の2歳戦の話題は前評判の高かったモーリス産駒の低調ぶりに尽きる。

 

そのモーリス産駒の今後の成功パターンのモデルとして着目している馬が函館記念に出走するから記事にしておこう。

 

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トーラスジェミニ

/母母母父リボー

 

本馬は2歳7月の芝1800m戦で15頭立ての15番人気でデビュー、9着に走った後の2戦目も16頭立ての16番人気だから、余程稽古の動きが目立っていなかったのだろう。

しかしながら、そこは名馬リボーの血を4代祖先に持つ血統馬、ここからが違う。

3戦目にペースの緩まない芝のマイル戦を経験し、再び距離延長で挑んだ叩き4戦目、単勝オッズ75.3倍の人気薄にも関わらず先行策から横綱相撲で押し切る。

その後もクラスが上がる度に2~3戦揉まれて着実に力をつけながら1着をもぎ取り、とうとう重賞で人気の一角に支持されるところまできた。

 

「実戦を叩かれて調子を上げる」

これは、3冠馬ナリタブライアンなど数多の活躍馬を輩出した往年の大種牡馬ブライアンズタイム産駒の傾向と酷似している。

 

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ブライアンズタイム産駒

/父母父父リボー

 

ナリタブライアン皐月賞・ダービーと圧倒的な強さを見せて夏休みを挟んだ菊花賞トライアルの京都新聞杯単勝1.0倍の圧倒的支持を受けながら3番人気のスターマンに足元をすくわれる形で2着に敗れた。そもそも、当馬は新馬戦でも2着に敗れている。日本競馬史上7頭いる牡馬クラシック3冠馬のうちデビュー戦で敗れたのは、ブライアンズタイムの最高傑作であるナリタブライアンだけだ。

 

 

重なるではないか... 

評判のモーリス産駒の新馬戦に。

 

 

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モーリス産駒

/父父父グラスワンダー

 

    グラスワンダー

    /母母父父リボー

 

ナリタブライアンは牡馬クラシック3冠の他に、2歳G1の朝日杯と3歳時の有馬記念を勝っているが、これ以降、この両レースを共に制したのはグラスワンダーのみである。リボーの血が3代周期の隔世遺伝で作用していることは、当ブログでは何度も書いているから今回は省く。

 

ズバッと言えば、モーリス産駒はレース間隔を空けて外厩で仕上げるノーザンFのやり方は合わない。産駒初勝利が非ノーザンだったのも半ば必然で、初重賞も実戦を叩かれて着実に力を付けた日高産馬となる可能性は高い。カイザーノヴァが3冠馬になる可能性だってゼロではない。

 

 

さて、話を函館記念に戻そう。

過去にブライアンズタイム産駒で函館記念を制した馬はいないが、条件の似ている皐月賞の勝ち馬を4頭も輩出しているのだから、トーラスジェミニの舞台適性は高いと見ていい。この血統群の最大の武器は心肺機能の高さだから、元来がスローの瞬発力勝負には向かず、人気馬を疑うなら新馬やペースの上がらない広々コースだ。

 

さらに、数奇な巡り合わせもある。

 

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1998年函館記念

1着パルブライト

/父母父父リボー

 

パルブライトは地方所属で大井競馬場でデビュー、6頭立ての6番人気だった。

初勝利は7戦目で、この地点で中央重賞に手が届くと予想できた人間が何人いただろうか。そして、このタフネス牝馬で22年前の函館記念を制した主戦騎手は、何を隠そう、明日トーラスジェミニに騎乗する木幡育也騎手の父・木幡初広元騎手である。