~血統ウェーヴ~

直系統に囚われない血統解釈で競馬の本質に迫る

サンデーサイレンス・ミステリー①

2022年ジャパンカップ前日の午前中、東京芝ではマイナー種牡馬・ネロ産駒の台頭が目立った。この時私は「いい傾向だな」と感じていた。デアリングタクトへの追い風である。

 

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日本競馬に革命を起こした奇跡の種牡馬サンデーサイレンス。その驚異的な遺伝力が発揮された直仔のデビューから早くも28年が過ぎて、今年のダービーにおいても当然のように出走馬全頭の血統表にその名を刻んだ。この様な飽和状態の血脈を意識したところで馬券の役には立たない..なんてことは無い。単純明快で破壊力抜群の血統観を書き留めておきたい。

 

『血統表におけるサンデーサイレンスの座標に着目する』

<2022年G1レース勝利数>(12/13日現在、中央平地のみ)

父父サンデーサイレンス ・・5勝

母父サンデーサイレンス ・・1勝

 

父父サンデーサイレンス・・2勝

父父サンデーサイレンス・・1勝

 

母父サンデーサイレンス・・5勝

母父サンデーサイレンス・・4勝

 

ディープインパクトは現2歳、ハーツクライ産駒は現1歳がラストクロップだから、いよいよ数年後の日本競馬はサンデーのひ孫世代による争いだ。ここで重要になるのが上記の内訳である。

 

サンデーサイレンスのひ孫世代は、直仔の牡馬から繋がる血統馬よりも直仔の牝馬を媒介した繁殖馬の産駒の方がより底力に優れ、その適性を群として捉えることも可能となる」

 

端的に言えば、父母父サンデー、母母父サンデーの血統馬は似たトラックバイアスで成績がシンクロすることが多く、大レースで混戦を断つ底力を備える産駒も目立つ。

父母父にサンデーを持つネロ産駒が台頭した翌日のジャパンカップを勝ったのは母母父にサンデーを持つヴェラアズール。同じく母母父にサンデーを持つデアリングタクトは、最後の直線で2度進路を失うも猛烈な追い上げであわやの4着だった。さらに13番人気のカラテ(父母父サンデー)も強敵相手に8着入線をはたした。

 

暮れの香港、例年通り日本から大挙有力馬が海を渡り国際G1レースに参戦した。

この日、ただ一頭優勝をもぎ取ったのはスクリーンヒーロー産駒のウインマリリンだ。

スクリーンヒーローと言えば母父にサンデーを持ち、確実に将来飽和する奇跡の血脈が嫌われたか社台から放出された種牡馬である。

 

サンデーサイレンスが、過去の歴史上の大種牡馬たちとどこか異なるらしいことは確実だ。ヨーロッパともアメリカとも違う、不思議な形の血統地図を広げて日本競馬を席巻し血統ファンを幻惑し続けていくのだろう。