~血統ウェーヴ~

直系統に囚われない血統解釈で競馬の本質に迫る

【凱旋門賞展望】フィエールマンの好走の法則見つけた!

日本調教馬による凱旋門賞挑戦の歴史は長いが、最もその栄光に近づいた瞬間は20年前のエルコンドルパサーだったであろう。当時、ノイズの混ざったラジオ中継を聞きながら、「頑張れ!頑張れ!」と懸命に叫んだのを鮮明に覚えている。地元メディアからも「勝者は2頭いた」と賞賛されたほどの歴史的パフォーマンスだった。

 

さて、そのエルコンドルパサー以降の日本調教馬による当レースの2着好走馬は、いずれもステイゴールド産駒の国内グランプリホースだった。しかしながら、同血統で同戦績を備えたゴールドシップに全く適性を感じられなかった事実も見逃せない。

 

凱旋門賞挑戦前の直近国内レースの馬体重>

 

凱旋門賞着順

2010年  2着 ナカヤマフェスタ (466kg)

2012年  2着 オルフェーヴル  (456kg)

2013年  2着 オルフェーヴル  (464kg)

2014年 14着 ゴールドシップ  (502kg)

 

加えて、今年の前哨戦のフォア賞で4頭立ての3着に敗れたキセキも前走の宝塚記念の馬体重は506kgだった。欧州ではレース前に主催者側が馬体重を計測する習慣がないから全体的な傾向は分からないが、例えば2011年に凱旋門賞を勝ったデインドリームが来日してジャパンカップ出走時に計測した馬体重が426kgと、かなり小柄な部類に入る。凱旋門賞に限らず欧州の長距離戦が小柄な馬が活躍する舞台ならば、尚更斤量の軽い3歳牝馬の数多くの台頭にも納得がいく。これは減量騎手起用の長距離戦で自身の最小馬体重勝利記録を塗り替えた先日のメロディーレーンにも通じる。

 

今年参戦の日本馬でもっとも馬体重の軽いのはフィエールマンだが、前走の計測時が480kgだから小柄とは言えずむしろ馬格のある方だ。しかしながら、調べてみるとその戦歴にははっきりとした法則が隠されていた。

 

<フィエールマン優勝時の2着馬の馬体重>

 

レース名 当馬体重   2着馬    2着馬体重

3歳新馬 (488) サンライズシェル (482kg)

山藤賞  (486) ニシノベースマン (428kg)

菊花賞  (480) エタリオウ    (472kg)

天皇賞春 (480) グローリーヴェイズ(456kg)

 

<フィエールマン敗戦時の先着馬の馬体重>

 

レース名 当馬体重   先着馬    先着馬体重

ラジオN賞(476) メイショウテッコン(482kg)

AJC杯 (480) シャケトラ    (522kg)

札幌記念 (480) ブラストワンピース(536kg)

札幌記念 (480) サングレーザー  (486kg)

 

!! 
なんと、これまでにフィエールマンが先着を許した馬は全て自身より大きい馬であった。

ここから推測すれば、当馬は大型馬に適性の傾くレースには向かず、逆に小柄な馬が台頭するレースに向くと考えられる。これは、これまでに凱旋門賞に挑戦して敗れた同じディープインパクト産駒とは異なる傾向だから、今回は未知の魅力がたっぷりで応援にも力が入る。何よりも、自身より小さい馬には一度も先着を許していない実績は頼もしい。歴史的名馬のエネイブルは別格としても、現地の小兵ヴァルトガイストとの叩き合いには負けて欲しくない。