【ここが変だよ'17年産①】今年の2歳のハーツ産駒はディープ産駒だと思え!?
予想が外れてやけになっているわけでは無い。
あっという間に新馬戦が始まってからもう3ヶ月...
異常事態だ...と薄々感づいてはいたが、もう意識を変えなければならない。
<2017年産>
①ハーツクライ産駒
新馬戦から鋭い決め手を発揮する産駒が次々登場。
→これは血統を見ている競馬ファンなら感じていることだろう。まるで、ディープ産駒みたいだ。
②キンシャサノキセキ産駒
リネンパッションが新潟芝1600mを上がり3F33.0の決め手で新馬勝ち。
→血統に少し詳しければ違和感があるだろう。広いコースのマイル戦で産駒が新馬勝ちしたのは初めてで、上がり3F33.0は新潟直線1000mの記録を除けば、同産駒の過去の新馬勝ちの記録の中で断トツの数字だ。
③キングヘイロー産駒
→これに違和感を感じたら強者だ。キングヘイロー産駒は短距離の穴血統として知られているが、元来叩き良化型で、新馬戦に限れば相手関係に恵まれた1番人気での勝利が多い。これ以前の4番人気以下での芝1200m新馬勝ちは10年遡らなければ見つからない。さらに過去該当3頭は全て牝馬だから牡馬に限れば前例が無い。
④ブラックタイド産駒
リグージェが新潟芝1800mの新馬戦を上がり3F33.0の末脚で差し切り。
→ブラックタイド産駒の新馬勝ちの記録としては上がり早速。牡馬としては次位で過去にマイネルフロストが33.4の末脚でデビュー勝ちしているが、このレースは超スローで2着がマツリダゴッホ産駒だった。だが、昨日のリグージェの勝利は全く中身が違う。評判のハーツクライ産駒とディープインパクト産駒をまとめて鋭く差し切ったのだから、もう、どうかしてるぞ...血統傾向...
新馬戦・広いコース・鋭い決め手といったディープ産駒の専売特許と言うべき特徴が、'17年産の競走馬には別父の産駒にも現れている。
しかし解読の糸口が無い訳では無い。上記4頭の種牡馬とディープインパクトは共通してリファールの血を持っているのだった...(プロジェクトX風)
【理想のコースを考える】最もトラックバイアスの小さいコースはどこだ?
国内では、新潟の直線1000mほど特殊なコースは無い。
私が日頃使っている自作の競馬データで、競走馬のキャリア直近の2つの勝ち鞍だけを抽出して整理したものがあるが、最後の勝ち鞍が直千競馬だった馬のその一つ前の勝ち鞍を並べてみると、ことごとく直千競馬なのだ。
例えば、このコースはデータ上ではマツリダゴッホ産駒の勝利数が多く単勝回収率も100%を超えていたが、これはリピーターによって重ねられた数字なのだから、勝ち馬自体は少なく、つまりこの産駒全体で考えれば直千競馬を得意とする確率は低いのだ。
血統データを鵜呑みにして全てのマツリダゴッホ産駒に手を出していたらオケラ街道まっしぐらだと肝に銘じよう。
さらに、恐らくこれは今後ダート短距離のカレンブラックヒル産駒にも当てはまりそうだ。
面白い産駒が出てきて、そのイメージを頼りに芝からの条件変わりの穴狙いをしたくなる気持ちは分かるが、これも確率は低いだろう。
素質のある馬は調教で動いて最初からダートを使うから基本的には実績のある人気馬を軸で買う血統だ。
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「リピーターの活躍する特殊なコースでは種牡馬実績を鵜呑みにするな」
では逆に、フラットな(平坦という意味ではなく)コースではどうだろう。
多くの馬が能力を遺憾無く発揮できるわけだから、種牡馬実績の高さは産駒のポテンシャルの指標にはなりそうだ。
ならば、ここでも血統データを鵜呑みにして能力で劣る馬を狙うのは本末転倒だ。フラットなコースとは純粋に強い馬を選ぶ為にあるのだ。
さて、今回のテーマはその最もトラックバイアスの小さいコースはどこか?であった。これは言い換えれば、なるべく他の多くの条件のレースと親和性の高いコースということになる。出世レースという概念があるが、これの施行条件となるべきコースがまさにそうだろう。
では具体的に考えていこう。使用したデータは過去約6年分の、種牡馬65頭と母父として13頭の産駒の直近の勝ち鞍2つのみを抽出したものだ。
まず出世レースとしてイメージが定着している東京スポーツ杯と共同通信杯の行われる東京芝1800mだが、これはリピーターが多い。
リアルスティールやエイシンヒカリに代表されるように得意な条件ではとことん強いが、反面脆さもあって異なる条件との親和性は低い。
逆に、過去にはリピーターの活躍が目立った中山記念の行われる中山芝1800mだが、このデータでは2000m戦との親和性が目立つ。特にネオユニヴァース産駒にこの傾向は顕著で、ネオリアリズムやヴィクトワールピサもこのコースと2000mG1を勝っている。
次は、阪神芝1800mだ。
これはリピーターは少ないが、中山・東京・京都芝1800m戦との親和性が特に強い。だが、これらのデータは半数以上がディープインパクト 産駒によるもので、例えばハービンジャー産駒に限れば芝2000m戦や洋芝との親和性が高い。
毎日杯を勝ったブラストワンピースが札幌記念を勝つ事は約束されていたのか。
洋芝の凱旋門賞が楽しみになった。
【生産牧場必見】繁殖牝馬の父として優秀な種牡馬の選び方
競走成績の優れた牝馬が、母親として繁殖成績に優れるとは限らない。
2008年の天皇賞秋で歴史的な大接戦を演じたウオッカとダイワスカーレットの子供たちが、下級条件でしのぎを削りあっているような光景もこの世界では珍しくない。
それを考えれば、今週末に組まれている札幌記念を牡馬相手に勝ちきったエアグルーヴ、ヘヴンリーロマンス、フサイチパンドラの繁殖成績は素晴らしい。
逆に競走成績こそ優れないが名馬の母となった牝馬が数知れないのがこのブラッド・スポーツの面白いところだ。
2014年の、これも札幌記念を勝った牝馬ハープスターを産んだ繁殖牝馬がまさにそうだ。
ヒストリックスター
父ファルブラヴ(1998)
母ベガ
母ベガは周知のように競走成績も繁殖成績も特別に優れた名馬だが、ヒストリックスターはこのベガの残した唯一の牝馬である。
しかし、父ファルブラヴの種牡馬成績は(結果論だが)イマイチで、当馬も未出走で繁殖入りした。何故この名牝ベガにファルブラヴが種付けされたのかを推測すれば、サンデーサイレンスの亡き後、その直仔にあたるポスト・サンデーサイレンスとなるべき種牡馬の花嫁としての需要を考慮したのだろう。
そして、それは見事に実を結んだ。
ヒストリックスターにはサンデーサイレンスの最強後継馬であるディープインパクト が種付けされ、桜花賞馬のハープスターが誕生したのだ。
もちろん、これはいくつかの幸運と、遺伝という神の匙加減としかいう他ないいくつもの偶然の重なった結果だろうが、「血統ウェーヴ」理論で見たファルブラヴという種牡馬には、母父として優れる(必然的な)要素が備わっていたのだ。
ノーザンテースト(1971)
フレンチデピュティ(1992)
マルゼンスキー(1974)
カーリアン(1980)
トニービン(1983)
サクラバクシンオー(1989)
ファルブラヴ(1998)
競馬ファンならば、これらの種牡馬がブルードメアサイアーとして優秀なことはご存知だろう。例えば、種牡馬御三家と言われたサンデーサイレンス、トニービン、ブライアンズタイムの3頭はそれぞれオークス馬を3頭、3頭、2頭と輩出しているが、引退後に母としてG1勝馬を産んだのは前出のベガとエアグルーヴのみでいずれもトニービン産駒だ。母父サンデーサイレンスの活躍馬が目立つのはこれは総じて良血馬が多いことに由来していて、母父としてはトニービンの方が優秀だという評価は揺るがない。では、上記の7頭に共通する要素は何か。ここからが「血統ウェーヴ」のミステリー性の真髄だ。
実は上記の7頭の種牡馬の生まれた年(西暦)は、全て3で割り切れるのである。要するに、誕生年が3年周期で全て重なるのだ。更に、この7頭の父親の誕生年にも注目してみよう。
ノーザンダンサー(1961)
デピュティミニスター(1979)
ニジンスキー(1967)
ニジンスキー(1967)
カンパラ(1976)
サクラユタカオー(1982)
フェアリーキング(1982)
実はこの7頭の誕生年は、全て3で割ると2余る周期で重なっているのである。
さて長くなってしまったのでそろそろ結論を書こう。ディープインパクト亡き今こそ、将来のポスト・ディープインパクト となるべき種牡馬の、優秀な花嫁となる血統馬をより多く残すべきなのではないか。「血統ウェーヴ」から導かれた、繁殖牝馬の父として今後注目されるであろう種牡馬はこの馬たちだ。
【種牡馬格言】2001年産種牡馬の産駒は奇数馬番枠で好走する
前回の記事の抽出データがあまりにも出来すぎだったので、もう少し踏み込んでみよう。
「血統ウェーヴ」ではサラブレッドの誕生年を13年周期と3年周期によって定義している。例えば2001年産種牡馬と13年周期で重なる1988年産種牡馬の産駒には共通した特徴がある。それが今回のテーマだ。
テイエムオペラオー/ 父オペラハウス(1988)
<G1/7勝のうち奇数馬番5回>
皐月賞 /6枠12番
天皇賞春 /5枠5番
宝塚記念 /1枠1番
天皇賞秋 /7枠13番
JC /4枠8番
有馬記念 /4枠7番
天皇賞春 /1枠1番
<G1/負けた7戦のうち偶数馬番6回>
(3歳)
ダービー /7枠14番
菊花賞 /3枠4番
有馬記念/6枠11番
(5歳)
宝塚記念 /4枠4番
天皇賞秋 /5枠6番
JC /3枠4番
有馬記念 /8枠12番
(!)これはものすごい偏りだ..。奇数馬番で7戦して負けたのは3歳で挑んだ1999年の有馬記念でグラスワンダーとスペシャルウィークに続く3着なのだからほぼパーフェクトといっていい。ゲート先入れの方が集中力が高まるのだろうか。
<G1/7勝のうち奇数馬番5回>
菊花賞 /2枠4番
天皇賞春 /1枠1番
JC /1枠1番
大阪杯 /4枠5番
天皇賞春 /2枠3番
天皇賞秋 /4枠7番
有馬記念 /1枠2番
内枠で滅法強いのは周知だろうが、奇数馬番の多さも際立っている。そして特筆すべきは2頭揃って8枠(ピンク帽)でのG1勝利は無く、キャリア最大の敗戦(オペラオーの引退レース、キタサンブラックのダービー、5歳時宝塚記念)がこの枠だった。以上のことから、2001年産/13年周期の種牡馬の産駒は奇数馬番(なるべく内)で好走しやすく大外枠は鬼門、という仮説が成り立つが、では、前回の記事で書いた先週の日曜札幌の抽出データに当てはめてみよう。
好走馬(3着以内)/7頭中
奇数馬番枠・・ 5頭
凡走馬(4着以下)/4頭中
偶数馬番枠・・ 3頭
(!!)これも驚きだ...今回は新馬戦の1着馬と人気を裏切った馬を加えたのだが、傾向は顕著だ。
では、まとめよう。2001年産種牡馬の産駒はその芝ダート適性に問わず1走置きに好走する傾向があり、そのリズムは奇数馬番枠→好走、偶数馬番枠→凡走といった具合である。恐らくこれは産駒が目一杯走った次走で嫌気がさすか或いは反動が出やすいのかといった特徴と、ゲートの先入れ、後入れが深く関わっていると推測できる。いずれにしても、馬ノーベル賞級の発見であることは間違いない(なんだこのオチ)。
【種牡馬格言】2001年産種牡馬の産駒は1走置きに好走する
キングカメハメハが死んでしまった。
種牡馬は引退しても平穏な余生を願っていただけにショックは大きい。
キングカメハメハの現役時代の活躍はあまりに短く、しかし衝撃的だった。当時の常識ではNHKマイルカップ優勝から中2週で挑むダービー制覇は全くもって規格外で、15年前のサンデーサイレンス産駒全盛時代に、母父父にノーザンダンサーを持つ種牡馬(キングマンボ)の産駒のポテンシャルを強烈に示した名馬であった。
種牡馬としてのキングカメハメハは、私にとってはとても難解な印象だった。
何しろ、「血統ウェーヴ」で重要視している祖先馬たちがその血統表にゴロゴロと名を連ねていて解釈が難しい。俗にこの産駒が器用貧乏とも言われる所以だろう。
キングカメハメハは2001年産まれで、同期のハーツクライやダイワメジャー、競走成績で劣るブラックタイドまで種牡馬として成功した黄金世代だが、これらの産駒には共通して1走置きに好走するという傾向がある。
これは、サラブレッドの誕生年が自身の現役時代や祖先馬としても影響を与え続けるという「血統ウェーヴ」における最大のミステリー性によるものだと解釈できる。
では、具体的に先週日曜札幌の新馬戦を除く全レースで検証してみよう。
抽出馬の条件は、「父が2001年産」であることが必須で、今回「3着以内」に入った馬か「3番人気以内」に支持された全頭だ。
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【2R】
ロードアブソルート/父キングカメハメハ(2001)
(今回)5着/2番人気
(前走)3着
(前前走)5着
【3R】
ファロ/父メイショウボーラー(2001)
(今回)3着/8番人気
(前走)10着
(前前走)5着
【8R】
スリーケープマンボ/父スズカマンボ(2001)
(今回)1着/10番人気
(前走)8着
(前前走)5着
ブラックダンサー/父ブラックタイド(2001)
(今回)2着/9番人気
(前走)10着
(前前走)5着
ホッコーメヴィウス/父ダイワメジャー(2001)
(今回)5着/2番人気
(前走)1着
(前前走)6着
【9R】
ペレ/父ハーツクライ(2001)
(今回)2着/1番人気
(前走)6着
(前前走)2着
【10R】
カウディーリョ/父キングカメハメハ(2001)
(今回)1着/1番人気
(前走)・11着
(前前走)1着
【12R】
キタサンタイドー/父ブラックタイド(2001)
(今回)2着/5番人気
(前走)9着
(前前走)4着
(今回)4着/1番人気
(前走)2着
(前前走)6着
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なんと、この日は芝ダート、各種牡馬の産駒の適性などを問わず全頭が表題のパターンに当てはまってしまった。
あらかじめ認識していたのは最終レースのみで、記事を書きながら抽出していったのだから自分でも驚きだ。細かく分析すればペレとカウディーリョは前走が格上挑戦で着順が下がるのは当然だし、実際に活用するには前走との間隔などを考慮する必要があるが、単純で破壊力のある馬券戦術になるのは間違いない。
ディープインパクトの真実
ディープインパクトが死んだ。
今年殆ど種付けをしていなかったことは知っていたが、まさかそこまで具合が悪いとは思ってもいなかったので喪失感は大きい。
一般のニュースでその死が報じられるほどの影響力のある名馬であるから、その現役時代や種牡馬としての実績に対して一部の競馬ファンからはアンチ的な評価を受けることがあるのも宿命なのかもしれない。
私自身は、ディープインパクトの熱狂的ファンでもアンチでもない。これから書くことは主に私独自の血統観から得た、稀代の歴史的名馬の印象だ。
サラブレッドの競走能力を評価するときに最もよく使われる表現は「強い」であろう。
昔(といっても数年前だが)民放でフランスの凱旋門賞を中継したときにキャスターが過去のレース映像を見て「早っ!」とコメントしたが、これは間違いなくニワカである。
競馬は勝負の駆け引きや、大相撲のような格の激突が主たるスポーツ(欧州の大レースはボクシングと比喩されることもある)であり、単純にスピードを競い合うものではない。その証拠に、日本ダービーや有馬記念といった大レースの走破タイムが、当日行われた条件クラス(前座の更に前座のようなレース)のタイムとさほど変わらないか劣ることも珍しくない。人間で例えるならばオリンピックの短距離走の決勝の記録が、地区予選よりも劣るようなもので、これはあり得ない。
脱線した。ディープインパクトが日本競馬の歴史上で最も強かったかと聞かれれば、私の答えは(・・しばらく悩んだ後の)ノーだ。
デビュー戦から規格外のレース振りで、古馬になっても馬体重が増えなかったことや、産駒たちの成長曲線の傾向を踏まえても3歳時に競走馬として既にほぼ完成されていたことは明白で、だからこそ、暮れの有馬記念で奇策を打たれたにせよハーツクライに敗れたのは大きい。
とはいえ、ハーツクライが本当に強かった期間は短く、レース数で言えば3、4戦に過ぎない。将棋の故大山康晴氏の言葉を借りればこれは「一時力」というものに近く、本当の強さとは継続できて初めて証明されるものだという観点からは、約2年間圧倒的支持を受けてそれに応え続けたディープインパクトはハーツクライより遥かに強い馬だった。
歴史上最も強かったとは言わないが、3本の指に入ることは間違いない。
【第0章】〜血統とは、波である
「趣味は競馬、血統研究がライフワーク」のモンジューのひ孫です。
ペンネームの由来は父方の曽祖父「紋重」から拝借しました。初めて的中した馬券がそのモンジューが来日した99年のジャパンカップの馬連で、後に自分の曽祖父の名を知った時に不思議な縁と嬉しさを感じたのを覚えています。
さて、私が本格的に血統研究に着手し、独自の血統観を持つことに至ったきっかけを作ってくれたのは、15年前のチューリップ賞を勝ったスイープトウショウでした。当時、ダービースタリオンや田畑至氏の影響を受けた血統ファンとして週末競馬を楽しんでいた自分にとって、モニター越しに見たそのレースは「競馬をやめようか」と府中本町からの帰り道に落ち込むほどショッキングなものでした。
フォーティナイナー直仔でダート向きスプリンターのエンドスウィープから、まさかの芝王道路線のキレを備える素質馬が出た...
しかしその数日後だったか、何となくいつものようにパラパラと種牡馬辞典をめくっていると、あることに気がついたのです。
「母の父の父にノーザンダンサーを持つ種牡馬(繁殖馬)の産駒が、直系統や父の現役時代の適性のイメージに関わらず、特定の大レースに強い」
それは、エンドスウィープからスイープトウショウが出たのは、名マイラーだったサッカーボーイから菊花賞馬のナリタトップロードやヒシミラクルが出た遺伝的作用と同じ現象だと私を納得させる発見であったと同時に、サイアーラインによる「ダービー馬はダービー馬から」といったマクロ的な遺伝解釈から解放される大発見でした。
後にそのスイープトウショウがヒシミラクルの戦績をなぞるように秋の京都の3歳ラスト1冠(秋華賞)と宝塚記念を勝ち、さらにエンドスウィープからはアドマイヤムーン(宝塚記念、JC)も出て、現在に至っても、アーモンドアイの規格外の強さと距離適性は、母父父にノーザンダンサー(ヌレイエフ媒介)をもつ母フサイチパンドラからくるものと解釈して疑いようがありません。
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15年前に、母父父にノーザンダンサーを持つ繁殖馬の産駒が特定の大レースに強いことに気づいた私は、このような隔世遺伝が作用する他の祖先馬を探すべく、躍起になってサラブレッドの血統表とひたすら睨めっこする日々が続いた。この時使用したのが、「I 理論で読むスタリオンブック」という本で、国内外の種牡馬の血統表が9代祖先まで遡って載っていて非常に役に立った。府中本町の古本屋で手に入れたものだが、当時自宅にネット環境の無かった自分にとってはまさに求めれば与えられる(?)といった代物で今だに感謝している。
さて、そうこうするうちに早速着目したのが、伝説の名馬リボーの血である。ちなみにこのブログでは名馬列伝的な内容は端折らせていただくが、「血統ウェーヴ」の概念が理解できたその暁には、より一層(何十倍も)これらの昔話お伽話に興味が湧くことだろう(現に自分がそうだ)。
「母の父の父にリボーを持つ繁殖馬の産駒は、その血統の詰めの甘さの如何によらず大舞台に強く総じて叩き良化型である」
これは有馬記念に強かったブライアンズタイム産駒や、グラスワンダー(母アメリフローラの母父父がリボー)の血統解釈がこれにあたる。
現代では、リボーの血は後退し(代を重ねたという意味で)、さらに3代経て血統表の7代祖先にこの血を見つけるとこの傾向が見られる。ディープインパクト 産駒ながら菊花賞と有馬記念を勝ったサトノダイヤモンドも母内のこの血統解釈で納得できる。
さて、ここで波である。
サラブレッドの血統的遺伝には、例えばスプリンターのサクラバクシンオーから短距離馬が出るといった猿にでもわかる(猿に失礼)マクロ的な遺伝の他にも、マイラーから長距離馬が出たり、詰めの甘い父から突然怪物が出たりというミクロ的隔世遺伝があることは疑いようがない。ミクロ的と表現したのは、この遺伝が、マクロ的現実に対する量子力学のミステリー性に通じるものがあると直感したからに他ならない。
今度こそ波の話だ。ミクロ的な遺伝には、どうにも周期的な法則があるように思えてならない。例えば、リボーを4代祖先に持つブライアンズタイム産駒は現役時代の怪物ぶりが種牡馬としては直仔に遺伝せず、更に代を重ねて7代祖先にリボーを持つと、その底力が出現するようである。
つまりこれは、リボーの血が3代周期で波のようにサラブレッドの血統的遺伝に影響を与えているといえる。
実はサイアーラインでは淘汰されたように見える祖先馬たちも、現代のサラブレッドたちの血統表に打ち寄せる波のように多大な役割を担っていて、それを理解し、研究することで競馬の本質に迫ろう、というのが永遠のテーマである。
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さて現代のサラブレッドの血統遺伝に、周期的な波のように作用している祖先馬たちを考えよう。
それは、例えば来年のダービーの出走馬の全てがディープインパクト 産駒とキングカメハメハの孫だったとしても、血統予想をより豊かにカラフルに彩ってくれる祖先馬たちだ。
ハリーオン(1913英) 4代周期
ニールガウ(1907英) 4代周期
リボー(1952伊) 3代周期
プリンスキロ(1940米) 3代周期
フォルリ(1963亜) 3代周期
アイスカペイド(1969米) 3代周期
テューダーミンストレル(1944英)3代周期
ヴェイグリーノーブル(1965愛) 3代周期
まだまだ書き足らないが、競馬予想する上の実用的な価値を思えば、今回はここに留めておく。
いきなりノーザンダンサーが省かれているが、これはもう溢れかえっていてアーモンドアイ級の怪物と(血統表の)特定の座標においてのみ解釈すればいいと思う。
血統表のあらゆる代に顔を表すような大種牡馬には、時を経れば周期遺伝のようなミステリー性はもはや期待できず、対照的にハリーオンやニールガウといった直系の衰退したマッチェム系の祖先馬が「血統ウェーヴ」では光彩を放つ。
とはいえ、この馬たちもトニービンやダンジグ、ディープインパクト やストームキャットといったトレンド血脈に内包されることを考えれば、いずれは実用的では無くなるのだが。その時はまた、新しい波の光を察知する他ないだろう。
さて、ではこれらの祖先馬たちが現代のサラブレッドたちにどのように作用しているのか、具体的なところはレース予想を交えてやっていきたい。
あくまでも「血統ウェーヴ」は私独自の血統観であり(当たり前だ)、競馬予想が的中しまくって初めて「そんな見方もあるのか」と少し注目されるかもしれない。
さらに、もう一つ血統解釈の上で重要なファクターがある。
それはサラブレッドの誕生年だ。
これも実は波のように13年周期と3年周期で遺伝に大きな影響を与えていて、もはや個人的にはこれを無視して競馬予想はできない。
例えば、全兄弟でも適性の違う馬たち多いのは、実は産まれた年が違うからである..
「は?..」ってな感じだろうが本気で書いている。
大丈夫だ。
すぐに理解されたら、それはそれで困る(笑)。