~血統ウェーヴ~

直系統に囚われない血統解釈で競馬の本質に迫る

【第0章】〜血統とは、波である

「趣味は競馬、血統研究がライフワーク」のモンジューのひ孫です。

ペンネームの由来は父方の曽祖父「紋重」から拝借しました。初めて的中した馬券がそのモンジューが来日した99年のジャパンカップ馬連で、後に自分の曽祖父の名を知った時に不思議な縁と嬉しさを感じたのを覚えています。

さて、私が本格的に血統研究に着手し、独自の血統観を持つことに至ったきっかけを作ってくれたのは、15年前のチューリップ賞を勝ったスイープトウショウでした。当時、ダービースタリオンや田畑至氏の影響を受けた血統ファンとして週末競馬を楽しんでいた自分にとって、モニター越しに見たそのレースは「競馬をやめようか」と府中本町からの帰り道に落ち込むほどショッキングなものでした。

 

フォーティナイナー直仔でダート向きスプリンターのエンドスウィープから、まさかの芝王道路線のキレを備える素質馬が出た...

 

しかしその数日後だったか、何となくいつものようにパラパラと種牡馬辞典をめくっていると、あることに気がついたのです。

 

「母の父の父にノーザンダンサーを持つ種牡馬(繁殖馬)の産駒が、直系統や父の現役時代の適性のイメージに関わらず、特定の大レースに強い」

 

それは、エンドスウィープからスイープトウショウが出たのは、名マイラーだったサッカーボーイから菊花賞馬のナリタトップロードヒシミラクルが出た遺伝的作用と同じ現象だと私を納得させる発見であったと同時に、サイアーラインによる「ダービー馬はダービー馬から」といったマクロ的な遺伝解釈から解放される大発見でした。

後にそのスイープトウショウヒシミラクルの戦績をなぞるように秋の京都の3歳ラスト1冠(秋華賞)と宝塚記念を勝ち、さらにエンドスウィープからはアドマイヤムーン(宝塚記念、JC)も出て、現在に至っても、アーモンドアイの規格外の強さと距離適性は、母父父にノーザンダンサー(ヌレイエフ媒介)をもつ母フサイチパンドラからくるものと解釈して疑いようがありません。

 

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15年前に、母父父にノーザンダンサーを持つ繁殖馬の産駒が特定の大レースに強いことに気づいた私は、このような隔世遺伝が作用する他の祖先馬を探すべく、躍起になってサラブレッドの血統表とひたすら睨めっこする日々が続いた。この時使用したのが、「I 理論で読むスタリオンブック」という本で、国内外の種牡馬の血統表が9代祖先まで遡って載っていて非常に役に立った。府中本町の古本屋で手に入れたものだが、当時自宅にネット環境の無かった自分にとってはまさに求めれば与えられる(?)といった代物で今だに感謝している。

さて、そうこうするうちに早速着目したのが、伝説の名馬リボーの血である。ちなみにこのブログでは名馬列伝的な内容は端折らせていただくが、「血統ウェーヴ」の概念が理解できたその暁には、より一層(何十倍も)これらの昔話お伽話に興味が湧くことだろう(現に自分がそうだ)。

 

「母の父の父にリボーを持つ繁殖馬の産駒は、その血統の詰めの甘さの如何によらず大舞台に強く総じて叩き良化型である」

 

これは有馬記念に強かったブライアンズタイム産駒や、グラスワンダー(母アメリフローラの母父父がリボー)の血統解釈がこれにあたる。

現代では、リボーの血は後退し(代を重ねたという意味で)、さらに3代経て血統表の7代祖先にこの血を見つけるとこの傾向が見られる。ディープインパクト 産駒ながら菊花賞有馬記念を勝ったサトノダイヤモンドも母内のこの血統解釈で納得できる。

 

さて、ここで波である。

 

サラブレッドの血統的遺伝には、例えばスプリンターのサクラバクシンオーから短距離馬が出るといった猿にでもわかる(猿に失礼)マクロ的な遺伝の他にも、マイラーから長距離馬が出たり、詰めの甘い父から突然怪物が出たりというミクロ的隔世遺伝があることは疑いようがない。ミクロ的と表現したのは、この遺伝が、マクロ的現実に対する量子力学のミステリー性に通じるものがあると直感したからに他ならない。

今度こそ波の話だ。ミクロ的な遺伝には、どうにも周期的な法則があるように思えてならない。例えば、リボーを4代祖先に持つブライアンズタイム産駒は現役時代の怪物ぶりが種牡馬としては直仔に遺伝せず、更に代を重ねて7代祖先にリボーを持つと、その底力が出現するようである。

つまりこれは、リボーの血が3代周期で波のようにサラブレッドの血統的遺伝に影響を与えているといえる。

実はサイアーラインでは淘汰されたように見える祖先馬たちも、現代のサラブレッドたちの血統表に打ち寄せる波のように多大な役割を担っていて、それを理解し、研究することで競馬の本質に迫ろう、というのが永遠のテーマである。

 

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さて現代のサラブレッドの血統遺伝に、周期的な波のように作用している祖先馬たちを考えよう。

それは、例えば来年のダービーの出走馬の全てがディープインパクト 産駒とキングカメハメハの孫だったとしても、血統予想をより豊かにカラフルに彩ってくれる祖先馬たちだ。

 

ハリーオン(1913英)      4代周期

ニールガウ(1907英)      4代周期

リボー(1952伊)        3代周期

プリンスキロ(1940米)     3代周期

フォルリ(1963亜)       3代周期

アイスカペイド(1969米)    3代周期

テューダーミンストレル(1944英)3代周期

ヴェイグリーノーブル(1965愛) 3代周期

 

まだまだ書き足らないが、競馬予想する上の実用的な価値を思えば、今回はここに留めておく。

いきなりノーザンダンサーが省かれているが、これはもう溢れかえっていてアーモンドアイ級の怪物と(血統表の)特定の座標においてのみ解釈すればいいと思う。

血統表のあらゆる代に顔を表すような大種牡馬には、時を経れば周期遺伝のようなミステリー性はもはや期待できず、対照的にハリーオンやニールガウといった直系の衰退したマッチェム系の祖先馬が「血統ウェーヴ」では光彩を放つ。

とはいえ、この馬たちもトニービンやダンジグ、ディープインパクトストームキャットといったトレンド血脈に内包されることを考えれば、いずれは実用的では無くなるのだが。その時はまた、新しい波の光を察知する他ないだろう。

さて、ではこれらの祖先馬たちが現代のサラブレッドたちにどのように作用しているのか、具体的なところはレース予想を交えてやっていきたい。

あくまでも「血統ウェーヴ」は私独自の血統観であり(当たり前だ)、競馬予想が的中しまくって初めて「そんな見方もあるのか」と少し注目されるかもしれない。

さらに、もう一つ血統解釈の上で重要なファクターがある。

それはサラブレッドの誕生年だ。

これも実は波のように13年周期3年周期で遺伝に大きな影響を与えていて、もはや個人的にはこれを無視して競馬予想はできない。

例えば、全兄弟でも適性の違う馬たち多いのは、実は産まれた年が違うからである..

 

「は?..」ってな感じだろうが本気で書いている。

大丈夫だ。

すぐに理解されたら、それはそれで困る(笑)。