「巨大厩舎」VS「権限厩舎」、これが現代日本競馬の本質だ!
前回までの復習だ。
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日本競馬を席巻するノーザンF生産馬の約半数はクラブ所属馬で、その権限は実質生産者にあり、トレセン並みの施設と優秀なスタッフの揃った「外厩」の利用が日常になって調教師の裁量は確実に狭まった。
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「権限と引き換えに厩舎が潤う」
馬券で勝つ為には、リーディング上位という指標そのものを疑った方がいい。
もはやノーザンFは生産者という枠を遥かに超えて、上位厩舎の一部はノーザンF直轄のブランドと化していると言ってもいい。ならば、「ノーザンF生産馬」という括りを「巨大な厩舎」として捉え、逆にこれらを除外したデータで好成績を認める厩舎を「権限厩舎」として対比すれば、現代日本競馬の本質に近付けると直感したのだ。
平たく言えば、「権限厩舎」を認識することで馬券回収率は向上すると思う。
何故なら、日本人は肩書きやブランドに弱いからだ。
・・・
と、前置きが堂々巡りのドグラマグラ状態になりつつあるので前回の続きだ。
昨年の調教師リーディング/6位まで分析したから、
早速、7位からいこう。
ーーーー データのレシピ ーーーーー
集計期間は昨秋~先々週までの30週分
□対象は生産者L上位概ね50位以内の生産馬
□好走データは、
・2・3歳限定戦の2着以内(3歳未勝利戦を除く)、
・特別戦(重賞含む)の2着以内、
・平場戦は2勝クラス以上の1着(2番人気以下)のみを集計。
□凡走データは、3歳未勝利戦を除く全レースの、
・1番人気で3着以下、
・2番人気で4着以下、
・3番人気で6着以下、
・4・5番人気で8着以下、を集計。
ここから以下の条件を除外する。
・サンデーレーシング所属馬
・キャロットクラブ所属馬
・シルクホースクラブ所属馬
・吉田勝己・和美オーナー名義の馬
・ルメール騎手の騎乗馬
・短期免許の外国人の騎乗馬
残ったデータの内訳(延べ頭数)は、
好走・・694頭
凡走・・1274頭
好走/凡走データの比率は約1:2
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距離/1600m~2000m戦(芝ダ問わず)
☆好走データ ・・ 8頭
▼凡走データ ・・ 17頭
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距離/2100m以上戦(芝ダ問わず)
☆好走データ ・・ 5頭
▼凡走データ ・・ 4頭
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好走データ計13件の内8頭が1・2番人気のディープインパクト産駒。
近年はアーモンドアイを筆頭にノーザン・社台系の良血馬が目立つが、過去には天皇賞春のマイネルキッツや有馬記念のマツリダゴッホが人気薄の激走を演じ、牡牝や距離のカテゴリーを跨ぐ「柔軟性」は随一だ。まるでサーカスのピエロのような厩舎だから固定観念は持たない方が賢明だろう。
【栗東・音無秀厩舎】
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距離/1500m以下戦(芝ダ問わず)
☆好走データ ・・ 2頭
▼凡走データ ・・ 11頭
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距離/1600m~2000m戦(芝ダ問わず)
☆好走データ ・・ 3頭
▼凡走データ ・・ 9頭
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「ブランド人気」傾向だが4・5番人気の好走も目立ち、好走データが全て3番人気以内だった中内田厩舎とは異なる。
人気馬は疑い、実績馬や血統馬が人気の盲点になったら警戒しよう。
【栗東・松永幹厩舎】
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距離/1600m~2000m戦(芝ダ問わず)
☆好走データ ・・ 7頭
▼凡走データ ・・ 15頭
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平均値だが、好走データの半数が日高産馬であることが特筆だ。
良血馬は「ブランド人気」傾向も、「権限厩舎」としての期待値は高い。
【栗東・西村真厩舎】
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距離/1500m以下戦(芝ダ問わず)
☆好走データ ・・ 3頭
▼凡走データ ・・ 5頭
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距離/1600m~2000m戦(芝ダ問わず)
☆好走データ ・・ 8頭
▼凡走データ ・・ 2頭
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距離/2100m以上戦(芝ダ問わず)
☆好走データ ・・ 2頭
▼凡走データ ・・ 2頭
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文句無しの「権限厩舎」。
好走データにはノーザンFの生産馬が多く占めるが、個人馬主名義でノーザンF内における階層性は高くない。現状ではG1レースで「本丸」に遅れはとっても、今後預託馬の馬質が上がればトップトレーナーの仲間入りも近い。
馬券はもちろん、POGでも必ずチェックしておきたい真の実力厩舎だ。
【栗東・高野友厩舎】
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距離・芝ダート問わず
☆好走データ ・・ 1頭
▼凡走データ ・・ 9頭
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POGにおけるディアスティマは「ブランド人気」の典型だろう。
個人的には緩急の小さいマイル以下の差し馬として期待している。
【栗東・角居厩舎】
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距離/1500m以下戦(芝ダ問わず)
☆好走データ ・・ 1頭
▼凡走データ ・・ 5頭
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距離/1600m~2000m戦(芝ダ問わず)
☆好走データ ・・ 6頭
▼凡走データ ・・ 14頭
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距離/2100m以上戦(芝ダ問わず)
☆好走データ ・・ 6頭
▼凡走データ ・・ 4頭
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長距離戦のデータが優秀で管理馬から菊花賞馬が3頭出ているが、過去に天皇賞春の連対は無く、安易な固定観念は持つべきではない。良血馬の「ブランド人気」に騙されず、個々の馬の適性や臨戦過程を見定めたい。
続きを後日書ければ。