【AB理論】矢作厩舎と杉山晴厩舎の共通点とは?
コントレイルの矢作厩舎。
デアリングタクトの杉山晴厩舎。
この、昨秋のジャパンCにおいて世紀の大決戦を演出した2つの厩舎には共通点がある。
いずれも、他のリーディング上位厩舎と比較して好走率が低いのだ。
2020年の勝ち星ではそれぞれ全国1位、4位と素晴らしい成績を残したが、連対率、複勝率ともに上位8厩舎の中でワースト1位、2位である。
JRA賞の「最高勝率」や「無敗」の肩書きに拘らず積極的にレースを使い、敗戦をも糧にして馬と騎手の信頼関係を築き上げている印象だ。
だからこそ、成立したとも言える2020年のジャパンCなのだろう。
さて、これをモチーフにして提唱したいのが【AB理論】だ。
<まず、騎手と調教師を「連対率」で仕分けする>
2020年リーディング上位から2人ずつ「連対率」を比較して、
高い→A
低い→B
に仕分けしていく。例えば、
1位 ルメール騎手→B
2位 川田騎手 →A
3位 福永騎手 →A
4位 松山騎手 →B
5位 武豊騎手 →A
6位 横山武騎手 →B
といった具合で、連対率4割越えのルメール騎手がBに仕分けられる所がミソだ。
進んでいくと、
13位 デムーロ騎手→A
14位 横山典騎手 →A
15位 団野騎手 →B
16位 和田騎手 →B
のように成績が近ければ4人セットで比較した方がデータの趣旨に沿う。
「データの趣旨」を厳密に説明することは難しいが、A/Bは技術の上下ではなく「勝率や連対率に拘るか」といった性格など、血液型のA/Bに近いイメージだ。
・・・
これを、自作の生産者別データに入力して整理してみたのだが、
さて、ここで問題である。
次の組み合わせの内、最も好走率の高かったのはどれか?
①騎手A厩舎A
②騎手A厩舎B
③騎手B厩舎A
④騎手B厩舎B
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・データは2020年
好走=重賞を含む特別戦の全連対
2歳新馬/未勝利戦の1着(2番人気以下)
平場2勝クラスの1着 (2番人気以下)
凡走=3歳未勝利戦を除く、
1、2番人気で4着以下
3番人気で6着以下
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直感では、①が最も好走率が高く、④が最も低そうだが実際は違った。
最も好走率が高かったのは②であり、代表的なコンビはコントレイルの福永騎手A×矢作厩舎Bだ。
逆に好走率が最も低かったのは直感通り④だった。アーモンドアイのルメール騎手B×国枝厩舎Bや、デアリングタクトの松山騎手B×杉山晴厩舎Bも、このグループになる。下級条件でブランド人気するようなら疑ってかかろう。
そして面白いのは、騎手A厩舎Aと、騎手B厩舎Aの好走率が殆ど同じであったことだ。前者の代表的なコンビは川田騎手A×中内田厩舎Aで重賞実績も多数あるが、実はB×Aでも好走率は変わらず、先に述べたように最も好走率が高いのはA×Bなのだ。
この事実だけでも、騎手・厩舎・血統などの回収率データをむやみやたらに足し算することの危うさを十分示していると思う。
競馬の本質に近づくには、様々なファクターを虚数を用いた掛け算(回転)で捉えていかなければいけない、と本気で考えている。
【AB理論】条件別、生産年別などの具体的な実戦偏を今後書ければ。