ノーザンF生産馬に1・2月生まれの多い不思議
厳寒期にては母親の胎内、または土の中で眠り、
4月、暖かい日差しの恩恵を受けて青々と茂った草木のもとに生物が誕生するのは、より強く、逞しく育つ為の自然界の摂理であり、馬とて例外ではない。
1度目の種付けの時期が遅くなればなるほど、不受胎時に再び種付けを試みることが難しくなるのは自明だ。早期育成によりクラシック競走を目指すというのは建前であって、大牧場に1・2月生まれが多いのは、意図せぬ空胎を作らない為の「生産性向上」を重視した結果であろう。
2020年の春のクラシック競走が、それを象徴している。
コントレイル 4月1日生まれ
デアリングタクト 4月15日生まれ
ラヴ(海外) 4月13日生まれ
さて、この記事を書くために、5000件以上の自作の生産者別データに「誕生日」の項目を加えた。一件ずつ調べて手入力したので大変だった。デアリングタクトが2月生まれだったら諦めていただろう。
全ての入力を終えてデータを分析したところ、想像していた通りの結果が出た。
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【生産者別データ】5356頭(延べ)
(ベース) 集計期間=昨秋~3週前までの好走/凡走データ
(追加) 3月~8月施行重賞の好走データ(過去18年分)、他
好走/凡走の比率は約3:2
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全データを4等分して、最も早い生まれのグループを「早生まれ」、最も遅い生まれのグループを「遅生まれ」、その間を「標準」と分類。
早:標準:遅=約1:2:1
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<生産者問わず>
■■早生まれ■■
※1/1から2/21まで
好走データ ・・ 608頭
凡走データ ・・ 724頭
■■標準■■
※2/22から4/15まで
好走データ ・・ 1568頭
凡走データ ・・ 1102頭
■■遅生まれ■■
※4/16以降
好走データ ・・ 854頭
凡走データ ・・ 500頭
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明白だ。
遅生まれほど好走データの割合が高まる傾向は、データをノーザンF生産馬に絞っても(緩やかになるものの)変わらない。
サラブレッドの生産をビジネスとしている大牧場が早期種付けを推進するのは戦略として当然だろう。と同時に、これらの本質を捉えぬまま、馬券やPOGで勝とうと意気込むことが滑稽に思えてきた。
「ウチは餌をあげてただけ」と謙遜する2冠牝馬の生産者。
生まれて間もなく、
太陽の恵みの下、のびのびと、青々と茂った草を食べ逞しく育った牝馬が、
厳寒期に生まれ、
英才教育を施された良血馬がひしめく馬群をこじ開ける。
だから競馬は面白い。