~血統ウェーヴ~

直系統に囚われない血統解釈で競馬の本質に迫る

【京成杯AH】◎トロワゼトワル

開幕週の土曜中山芝は時計が早く、2勝クラスのマイル戦でも1分32秒台だから、当日天気さえ持てば31秒台の決着が濃厚だ。

 

さて、過去10年の当レースで1分31秒台の決着となった年が3回ある。

 

'17年>1着グランシルク(2012年産)

<'13年>1着エクセラントカーヴ(2009年産)

'12年>1着レオアクティブ(2009年産)

 

勝ち馬3頭とも生産年が今年の4歳世代/3年周期に当たる。ならば今年の注目馬はこの2頭だ。

◎トロワゼトワル(2015年産)

前走芝1400m戦1着の臨戦過程で鞍上横山典騎手は12年のレオアクティブと重なり、直系4代祖先がミスタープロスペクターの点も共通している。ここは差し馬が多く軽量+先行策での粘りこみを期待。半妹がダートで勝ち上がっている点も開幕週芝の血統傾向からはプラス材料だ。2走前の同条件の敗戦は開催最終週だった。

◯ジャンダルム(2015年産)

マイル血統ながらクラシック路線を歩んだ馬がようやく適距離で復調してきた。これも3代祖先にサドラーズウェルズを持つ血統は前出レオアクティブと重なり、内枠さえ活かせれば高速決着でも台頭可能と見た。

【紫苑S】◎パッシングスルー

ハービンジャールーラーシップには中山芝重賞におけるポスト・ステイゴールドとしての種牡馬の期待が高まるが、

そのステイゴールド産駒の大物は牡馬に偏り、牝馬のG1勝ちはマイル戦の2勝に留まる。2年前の当レースで2着したカリビアンゴールド(父ステイゴールド)もその後距離短縮でパフォーマンスを上げているように、牝馬限定2000m戦のましてやトライアルレースでは、この血統馬において中長距離実績のある牡馬を彷彿とさせる馬よりも、牝馬らしい切れ味を備えた馬が性能の高さで凌駕すると見た。

◎パッシングスルー/ルーラーシップ

後の重賞勝ち馬ワイドファラオを鋭く差し切った新馬戦を高く評価。カレンブーケドールには実績で劣るが、臨戦過程と適性を考えれば負けられない1戦で力が入る。

◯ローズテソーロ/ハーツクライ

ステイゴールド産駒とは対照的に、ディープインパクトハーツクライの産駒の大物牝馬は中長距離路線でも牡馬顔負けで、距離短縮のスピード決着にも対応可能だ。ならば未勝利戦の芝2400mを評判馬相手に快勝した当馬のポテンシャルは侮れない。ミモザ賞は成長途上で馬場不向き、フローラSの惨敗は馬体重-18キロと明白だから、今回が本当の試金石かもしれない。ハービンジャー産駒以外では唯一当レースに抜群の相性のニールガウ(1/4)の波を母父内ダンジグ媒介により備えて警戒したい。

【中山芝2000m攻略】ステイゴールド・ハービンジャーに続く種牡馬を探せ!

前回の記事のテーマは新潟直線1000mに関する推理だったが、血統とは全く無関係なものだった。今回が本題だと言っていい。

まず前回の推測をまとめてみよう。

外枠に入るほど有利な直千競馬にも関わらず6枠の勝率が複勝率に比べて極端に低いのは、好走が更に外の8枠7枠の馬に依存したもので、これによって漁夫の利を得ることもある内枠よりも勝ち数が伸びない、というものであった。

直千競馬においては大外枠の能力補正が顕著なのは言うまでもないが、走っている馬たち自身にはどう映るのか。見ているファンにはもはやピンク帽の軽量牝馬が1着入線しても強さなど微塵も感じないが、近くを走る6枠の馬たちの多くは「こんな速い馬には勝てないな」と半ば諦めているに違いない。

今回はこの馬目線?とも言える推測から強引にも、

 
「直千競馬の大外枠」を「芝中距離戦におけるディープインパクト産駒」に置き換えて考えることがテーマだ。

 

中山芝2000m戦のディープ産駒の成績は勝率、複勝率とも他のリーディング上位種牡馬を凌駕している。これはコース適性云々よりも、圧倒的な肌馬の質の高さに裏打ちされた能力の高さによるものだろう。であるならば直千競馬の6枠馬のように、このディープ産駒たちと能力比較によれば次位の、似た脚質を持った種牡馬の産駒たちの勝率は複勝率に比べて極端に低くなるのではないか、と推測した。

昨年末までの過去3年の中山芝2000m戦で、勝率が複勝率の1/3を下回った有力種牡馬キングカメハメハマンハッタンカフェだ。これらの産駒はディープ産駒の支配する展開によるこの条件下での好走率は高くとも、本質的なコース適性は疑問だ。

ならば、勝率が複勝率の1/3に近いバランスの成績を残す有力種牡馬たちはどうか。これはステイゴールドハービンジャーが当てはまり、当該コースの重賞でも多数活躍している。要するに、産駒の平均的な能力な高さで実績を積み上げたディープ産駒と、それに半ば依存する傾向のある種牡馬を隠すことで、本質的にそのコースに強い種牡馬が見えてくる、というわけだ。

これを踏まえれば、今後中山芝2000m戦の有力種牡馬としてステイゴールドハービンジャー に続くのはルーラーシップだろう。紫苑ステークス出走の有力馬たちにも早速注目だ。

【競馬七不思議】なぜ新潟直線1000m戦では6枠の勝率が悪いのか?

今週から秋競馬だというのに何を今更と言われるかもしれないが、これを考えることが今後の馬券回収率の向上の為の特効薬になると直感したのだから仕方がない。

 

さて競馬は各コース形態によって枠順の有利不利が異なるが、新潟直千コースほど分かりやすいものはないだろう。何しろ、枠順別複勝率は大外の8枠が最も高く、内へ行くほど見事に右肩下がりに低くなる。(1枠2枠では入れ替わるが、これは2枠の馬が1枠3枠の馬に挟まれて押圧されるからであろう。)

これほど分かりやすい外枠有利なコースならば、勝率も8枠7枠ときて6枠が次位で高くなければ不自然だが、6枠の勝率に関しては過去3年で前出の2枠の次に悪く(ワースト2)、単勝回収率も20%台とかなり低調な数字だ。この疑問を残したまま大事なお金を週末散財する訳にはいくまい。

 

そもそも競馬というスポーツは大勢の入れ替わりが少ない。

競技時間が短いと言われればそれまでだが、差されてまた差し返すのような攻防を何度も繰り返すようなシーンは滅多にお目にかかれない。大抵はスタートして隊列が決まり、勝負所の手応えと末脚の勢いで着順が決まる。4コーナーで馬券が買えたら誰でも億万長者だ。昔のダビスタでは勝負根性が重要な要素だったが、現代競馬で問われるのはフィジカルと展開を見方につける騎手の技術を含めた操縦性だろう。

4コーナーで馬券が買えたら...というのはあながち夢物語では無い。直千競馬の話だ。これだけ外枠有利が顕著ならば、枠順による能力補正と展開補正が明白で、つまり8枠の馬は道中ロスなく4コーナーを回ってきた手応え十分な有力馬と解釈することができるのだ。これでは、勝負根性の入る余地の少なくなった現代スピード競馬で、相手なりに走る性質を持った馬たちなら6枠の勝率の低さが顕著なのも仕方がない。6枠の馬の好走は、8枠7枠の馬に合わせて走ったものなのだから、これらが崩れる時に先頭で駆け抜けるのは漁夫の利を得た内枠の馬で、結果的に複勝率が高くとも勝率では内枠に劣るのだろう。

 

まだまだ未熟な推論だが、これが何かのきっかけとなる予感に変わりはない。

【紫苑S展望】カレンブーケドールの舞台適性は??

重賞昇格から今や出世レースとなった紫苑Sだが、その血統傾向は偏っている。2年連続でハービンジャー産駒が優勝しているのは周知だろうが、

3年前の優勝馬ディープインパクト産駒のビッシュの血統もこれと無関係ではない。

ハービンジャー母父ベーリング

ビッシュの母)バランセラ/母父ベーリング

ベーリング仏ダービー馬で、凱旋門賞で伝説となったダンシングブレーヴの末脚に敗れた2着の名馬だが、3代祖先にこの名がある血統の活躍馬には他にリスグラシューがいる。これらはシーバード媒介の「ニールガウ(1/4)」の波を備えることになるが、実は当レースの過去3年の連対馬の6頭中5頭はこれに当てはまる。この血統要素を持たずに唯一2着に入ったのはあのヴィヴロスだ。

レンブーケドール

血統表のどこをどう探してもニールガウ(1/4)の波は見つからず、ここで連対すれば相当な器なのだが...

過去の紫苑Sの連対馬を見ると、その後のキャリアを含めて2200mを超える距離での連対実績のある馬はおらず、むしろ軒並み距離適性は1800m以下で鋭い決め手が印象的だ。逆に、オークスで12番人気に甘んじたようにカレンブーケドールの1800m戦(スイートピーS)の内容は目立つものでは無かった。ディープ産駒としてはフィエールマンのような長距離志向で広いコース向きと見て紫苑Sでは軽視したい。

【休み明け方程式】ディープ産駒≒サクラバクシンオー産駒??

「血統ウェーヴ」では、サラブレッドの生産年を3年周期13年周期で定義している。

 
これは、血統や現役時代のイメージとは産駒の適性や特徴の辻褄が合わない種牡馬たちの誕生年が、この周期で重なる傾向に気づいたことから始まっている。

 

これがタイトルの無謀(?)とも言うべき相似記号の根拠なのだが、さて本題は何故ディープ産駒は休み明けから走るのか、だった。

 

ディープインパクト (2002年産)

サクラバクシンオー (1989年産) =2002-13

 

・バクシンオー産駒が休み明けに強かったことは語る必要もないだろう。問題はこれらと同世代の種牡馬たちだ。

 

アドマイヤジャパン (2002年産)

新馬勝ちした全8頭のうち、7頭が4番人気以下での勝利で高配当が目立つ。

 →1400m以下に実績が偏るのもポイントだ。前々回キングヘイロー産駒について書いたが、短距離志向の叩き良化型種牡馬の産駒の新馬勝ちは相手関係に恵まれた人気馬に多い。明らかにアドマイヤジャパンはその逆だ。

 

タートルボウル (2002年産)

・産駒唯一の重賞勝ち馬トリオンフは新馬勝ちしている。

 

パラダイスクリーク (1989年産)= 2002-13

・産駒で重賞を勝った全6頭の内5頭が新馬勝ちしている。

→これは前回書いたように、後の重賞勝ち馬でもデビュー戦では目立って走っていないことはザラで、叩き良化型種牡馬の産駒なら尚更だ。明らかにパラダイスクリークもその逆だ。

 
これらのことから考察すれば、休み明けに走るディープ産駒の特徴は父から譲り受けたものではなく、サラブレッドの生産年による適性や特徴の偏りといったミステリー性の強い遺伝現象が影響していると推測できる。

 

そしてそれは、現在までにデビューした今年の2歳馬にあたる2017年産の、リファールの血を持つ種牡馬の産駒に顕著な特徴であるから、今後も検証していこう。

【ここが変だよ'17年産②】実は現役時代のディープインパクトは叩き良化型だった

今年の2歳にあたる2017年産の競走馬には、ディープ産駒の専売特許とも言える「新馬戦・広いコース・鋭い決め手」といった特徴が、リファールの血を持つ別の種牡馬の産駒たちにも現れている、とここまでが前回の考察だった。

 

そもそも、何故ディープインパクト産駒は休み明けから走るのか。父も新馬戦から圧倒的パフォーマンスを見せていたのだから不思議はないと感じるかも知れないが、血統を研究すればするほど、この見解には無理がある。

 
3代祖先にリファールを持つ馬の傾向>

ディープインパクトの母父はアルザオで、その父がリファールだから当馬もこれにあたるが、同様に母父がダンシングブレーヴ(父リファール)の馬に注目してみよう。

この血統馬で平地重賞を勝った全10頭の内、新馬勝ちしたのはスイープトウショウクラレントのみで、共に京都芝1400mで1、2番人気に支持されていた。

これは舞台適性と相手に恵まれたもので、あのメイショウサムソンですら勝ち上がりは3戦目なのだから、血統傾向としては叩き良化型と見て間違いない。

後の重賞勝ち馬がデビュー戦では掲示板外だったケースも目立つ。

 
ではディープインパクトの現役時代はどうだろう。

 

産駒からはトライアルの弥生賞の勝ち馬が沢山出ているが、軒並み本番の皐月賞では期待外れの成績だ。

これは、弥生賞ではアドマイヤジャパンに詰め寄られたが、本番の皐月賞では全く問題にしなかった父とは真逆ではないか。

更に、国内唯一の敗戦となった3歳時の有馬記念菊花賞からの中8週、勝ったハーツクライはこれも母母父にリファールを持つ血統馬で、この時は前走ジャパンカップからの中3週+叩き3戦目だったのだから興味深い。

ディープインパクト凱旋門賞の敗戦は、早仕掛けではなく休み明けが影響したもので、絶対能力の差から連戦連勝で本質が見えにくいが叩き良化型であったと推測できる。

 

では何故産駒は休み明けから走るのか。実はこの傾向はディープインパクトに限ったことではなく、2002年産/13年周期種牡馬に顕著な傾向なのだが...

 

それはまた、別の、話。(ひっぱることを覚えたね)